服部克久さんとは別な昭和の巨匠の話

 

谷村新司さんの「群青」という曲は、連合艦隊という映画の主題歌としてつかわれた。この曲は服部克久さんの編曲なのはもちろん、ピアノを弾いた羽田健太郎さんとの今で言うコラボにも注目したい。


服部克久さんと谷村新司といえば、「昴」の大ヒットがあるが、この群青のほうが、より寂しく、より感動的に仕上がっていると思う。映画の最後に、大音量で、この曲が映像に合わせて流れれば、そりゃー号泣するだろうな、と思う。


その号泣ポイントの一つが芸術的な羽田健太郎さんのピアノである。クラシックからポップス、ジャズまでなんでもこなす羽田さんは一つの輝くブランドである。


ウイキペディアを見ると、ピアノが印象的な歌謡曲の殆どをこの人が弾いてることが分かる。


西田敏行の「もしもピアノがひけたなら」、渡辺真知子の「かもめが翔んだ日」、山口百恵の「秋桜」、岸田智史の「きみの朝」、沢田研二「勝手にしあがれ」、久保田早紀「異邦人」とトリッキーなピアノが入っている曲はたいていこの人である。作曲では、西部警察のテーマ、渡る世間は鬼ばかり、久米宏のテレビスクランブルなど、多彩なご活躍である。音大時代、師匠というべき先生と出会うが、お金が欲しくてポップスのレコーディングに手を貸す。それを嫌った先生に絶縁を宣告される、という淡谷のり子のストーリーに似た話もある。


服部克久さんいわく、羽田さんはなんでもらくらく初見でピアノを弾いてしまうほどの実力の持ち主。絶対初見で引かせないぞ!と作ったのが「群青」だったそうだ。実際録音のとき、所見では無理で、「ちょっとまって!」と練習してから録音に望んだ、と服部さんが嬉しそうにかたっていた。レコーディングの前から、羽田健太郎のピアノありきで作られた編曲だそうだ。イントロから、クラシックのようなピアノの旋律と、弦が鳴る服部克久さんお得意の曲調。そこに羽根けんさんの技巧的ピアノがなり、谷村さんの壮大なメロディとボーカル、もうこれが映画のエンディングは反則だろ、と思うほどの名曲である。映画は見たことないけど。


連合艦隊のサントラは、服部さんの死後、再発売されていた。モノラルとステレオ録音の二枚組。これは買わないと!


また、さだまさしの服部克久さんアレンジの2枚、印象派とうつろひ、では羽田健太郎さんとの服部克久さんのピアノが楽しめる。テニスの基本を歌った「0−15」という曲では、お二人のテニスのラリーの様なピアノのラリーが聞ける。


うつろひではピアノのイントロが印象的な住所録、翌檜、また効果音的にピアノを使った黄昏迄など服部克久と羽田健太郎のナイスワークがてんこ盛りだ。


服部克久さんは、自身のアルバム音楽畑では自分でピアノを引かれているようにかなりのピアノの名手である。ピアノを知り尽くしてるから、ピアノの美しい旋律をかけるのだろう。どんなに難しくても、感動的に弾きこなす羽田健太郎さんとは、お互いダジャレ好きと言うのはべつとして、引き合っていたのではないか?

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