ピーコさんと一夜限りの逢瀬

 おすぎとピーコのピーコさんが亡くなった。


記事を読むと、生前、ワイドショー、笑っていいとも等で活躍した、という記事が多い。


記事を書いているのもコタツ記事専門の若い記者なのだろう。


誰も書いていないが、おすぎとピーコが彗星のように突然メデイアに登場したのはラジオだった。


芸名をつけたのも、芸(ゲイ!)を見る目に厳しい永六輔さんだったそうだ。


逆に言えば、永六輔公認のラジオ出演者だった。


最初は久米宏がTBSラジオでやっていた土曜日8時間の生ワイド「土曜ワイドラジオ東京」という番組にレギュラー出演していた。

出演コーナーは「おすぎとピーコの週末情報」と言うコーナーで日曜日に見るべき映画を久米宏との丁々発止のやり取りをしながら伝えていた。


小学生の頃、久米宏ファンのぼくはこのラジオを聞いていた。


なんだかよく分からなかったが、面白かった記憶があった。


トークにゲイ特有のしつこさがあって入込みはしなかった。


この番組をきっかけに、テレビ等でも活躍するようになったと思う。


ちなみに誰がおすぎとピーコを見い出したのかという事は聞いた事がない。


その後10数年後、むかーしおすぎとピーコとラジオに出ていた女性ラジオパーソナリティの方と、六本木のお高い鉄板焼き屋さんで食事をしていた。


話題は会社を辞めたい僕の相談を聞いてもらう、という暗い会合だった。


すると店の奥から、賑やかな声が聞こえてきた。テレビでお馴染みのピーコさんとそのお母様と思しき女性と、いとこ達と思しき小さな子供ても家族でお食事会といった感じだった。


旧知のパーソナリティを見つけて、挨拶をして一言二言笑わすような会話をして、今度は僕に向かって「邪魔してごめんなさい~この人にいっぱいご馳走になってね」と言い残し、レジに消えていった。


テレビで見せる毒舌家のエキセントリックな雰囲気ではなく、家族(?)に囲まれてと世話好きのおばさん、と言った感じが印象的だった。


そして僕はそのパーソナリティにご馳走になった。


別にそれだけの話なんだけど、ピーコさんと聞くと、幸せそうな団欒の雰囲気のあの夜を今も思い出してしまう。