嘆かわしい吹き替え文化

朝日新聞の記事

「洋画、字幕離れ進む 吹き替え需要増、薄れるこだわり」

昨今、シネコンがどんどん建設され、
上映でき本数が増える中、
吹き替え版、字幕版という選択肢が普通になり(特に大作)、
「やっぱり吹き替えはわかりやすいよね」
って事になったんだと思う。

しかし、なんて嘆かわしい…。

役者の演技とは
表情や動き、そして声のトーン、話し方なんかもふくめて演技である

もちろん、素晴らしい吹き替えがあることはわかる。
(NHKで放送された「シャーロック・ホームズ」シリーズの露口茂と長門勇の
ホームズ、ワトソンは雰囲気まで出ていて最高だった。)

日本の名優と呼ばれるような人が吹き替えをしている時には
何の違和感もないこともあるけど、
しかし、しかし、である。


昔、木村太郎氏が、NHKの「NC9」
というニュース番組で、人気が出た時、本を書いた。

その中で、NHKのニュースはあくまでも原語主義、と言っていた。
(「驚こう 学ぼう 楽しもう―タローのNC9」絶版)

海外の要人のインタビューや発言は、
万が一にも誤訳することもあるので、
原語に字幕で放送し、万が一の誤訳に備える、
という話。

しかし、実は今やNHKのニュースまでも、
吹き替えが非常に多い。

そこで、NHK紅白歌合戦。

レディー・ガガの歌の訳が意訳すぎる
あるいは意図的にメッセージを消しているのでは?
という話題がネットにはあった。

あるいは、洋画の翻訳界の女王、
戸田奈津子 という言葉と 誤訳という言葉で
ググると20万件が出てくる。

小職は海外ドラマファンなのだが、
字幕で見ていると、あ、字幕の訳つまんない訳してるな、
って思うことがある。

字数の制限やもしくは
ネタがあまりにも小さなバックボーンの冗談の場合は
わざと訳として出してこないことが多い。
でも、実はこんな部分にこそ、面白さがあって
最近は字幕には訳されていないけど、セリフの可笑しさを理解して
笑った自分、というのが楽しいのである。

もし吹き替えで見てれば、翻訳家の世界に完全に依存し、
10の内、3とか4でしか楽しめない。

結論としては、字幕でも吹き替えでも、元のコンテンツの
一部しか表現できない限界があるのである。


よって、海外ドラマが聞き取れるくらい勉強しようよ、って話になる。

例えば、ジュリア・ロバーツがニホン語を話す映画は全く興味ないのだが
実は、最近ituneで映画を探していたら
日本語吹き替え版しかないことが相当あり、
この傾向に警鐘を鳴らしたく・・w