うちの弟は出版社で週刊誌の編集をやっていた。
そのせいなのかどうなのかは知らないが、子供の頃は予想もしなかったほど、たくさんの本を読んでいたようだ。
東京の家の廊下に読んだ本が置ききれなくなると、週刊誌の合併号で社員がお休みになるお盆とお正月に帰省し、ダンボールにたくさんの本を入れて実家において帰っていった。
その本が未だに残っていて、僕は「弟文庫」と呼んで、ちょこちょこと中身を見ていた。
グリコ森永事件の真相を描いた一橋文哉の作品や織田信長の生涯を描いた歴史小説、石原慎太郎の著作など多少右翼的な本がたくさんの方が残っているのだが、その中で最近亡くなった宮崎学さんの「突破者」という本があった。
宮崎学さんと言えば、グリコ森永犯の人として、警察にマークされていたぐらいの知識しかなかった。
しかし宮崎さんは京都の出身だ。
表の京都というと平安時代の雅な雰囲気や歴史的な史跡の数々という絵柄になるが、京都の裏と言えばヤクザや差別などくらい一面もある。そんな面に興味があり読んでみた。
この本はまさにそのくらい面を十分という程教えてくれた本だった。
例えば京都の映画産業が衰退し、スタジオを一つ畳むにしても、その映画業界に必要な、その筋の人がいた訳である。
というのはロケーションで街中で撮影をしていると、誰のシマだと思ってるんじゃという怖い人達が現れる。
その人達と話をつけるその筋の人が必要になるというのがカラクリである。
そういう仕事をされていたり週刊現代や週刊新潮の記者のような仕事をしていたりと波乱万丈の人生だったが一冊の本として読むと非常に面白い本だった
後年は西部邁さんとよく仕事をされていたようだが、どんな論陣をはられていたのか、僕はそんなにフォローしなくなっていた。
自分史でありながら下手な小説よりドラマチックで面白かった。
ヤクザの両親に育てられ早稲田大学に通い、左翼の思想家になると言うのが面白い。
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