中学の同級生にI君というひとがいた。
「ドラえもん」でいえば出木杉くん。
勉強はできるし、スポーツも抜群、野球部のキャプテンで、生徒会長。明るく朗らかで社交的。おまけに男前。
非の打ち所がない。
まさに出来杉君だった。
その彼は県立高校への進学(余裕で学区内トップ校に合格できる)を捨て、関東の野球で有名な私立高校に進学した。
高校から県外なんてめったにいない。
その高校なら、甲子園出場の夢が叶うと賭けたのだろう。
所が、彼の高校は3年間、甲子園出場出来ず、逆に彼が行ったであろう県立高校が何十年ぶりに甲子園出場を決めた。
東京大学に熟語がプラスされた大学に進み、その後今となってはみんな知ってるファッション系の会社に勤め、かなり偉くなってるらしい。
日本橋のファミレスで友達とご飯食べてたら、LINEで中学の同級生の女の子から今発売中のなんたらという雑誌にI君が出てるから見てみろという指令が下った。
近所のコンビニエンスストアで立ち読みをしたら、夫婦で「お宅訪問」の取材を受けているほどの有名人になっていた。
僕は大学のとき、一度彼の家を訪ねて、夕飯を御馳走になり、馬鹿話をしたきりだった。
それっきりあってはいない。
ただ、中学の時、彼がつきあっていた女の子の噂を聞いて、ふと出来杉君のことを思い出した。
絵に書いたような出来杉君は当時甲子園に出られるか以外にどんな悩みがあったのか?
出来杉君なりの贅沢な悩みを聞いてみたかった。
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