胸の振り子。

 Jポップの父、服部良一の作品を雪村いづみが歌いバックをキャラメルママが務めたアルバムがサブスク解禁された。

NHKの連ドラ効果。

服部良一の時代の音は、SP盤なので音が悪い。パチパチノイズもひどい。

そして何より当時の編曲というのがpoor なサウンドだった。これは時代とともに発展していったものだから仕方ないと思うが。

その服部メロディを、キャラメルママがアレンジした、というだけで、興味深い。

事実、凄く楽しい時サウンドになっている。

アマゾンのレビューやブログなどで「細野さんすげー」が並ぶのもわかる。たしかにあのベースはすごい。

だけとね、弦とブラスセクションのアレンジは息子のドラマで言うカツオ(服部克久)さんがやっている。

キャラメル・ママのリズムに対抗するパリ高等音楽院卒の音。これが見事。千回聞ける。あのクセのあるサウンドに、万人が聞ける弦やブラスの音を交ぜたのは凄い。


このアルバムは服部良一さんがまだ生きている頃制作された。

インタビューで、このアルバムのプロデューサー村井邦彦さんの事を服部さんがべた褒めしてるの。

「彼の挑戦だ!その挑戦が音楽界には必要だ!俺は受けて立つ」的な。

服部良一が築いたジャパニーズポップスの世界を使って、最新の才能で作り直すことにより、音楽は進歩するのだろう。本家取りみたいなもんだよね。

流石、自らも作詞をしたり、楽団を組織したりと、プロデューサー的な動きの多かった服部良一は、アーティストを褒めるのではなく、プロデューサーの村井さんを褒めるところが鋭いね。

ところが生前、服部克久さんがこのアルバムについて言及してることはないのよ。ググっても。

あまり楽しくなかったのかな。

そして、服部良一生誕百年の年に

「服部良一」というストレートなトリビュートアルバムを息子の隆之さんと作った。

こっちのほうが好き。

こういうのを作りたかったんのかな?

今年、クリスマスの約束はしなかった小田和正の蘇州夜曲は最高!

井上陽水の歌う「胸の振り子」も素晴らしい。

キャラメルとは全く別の世界。