全国各地で催された引退コンサートの最後に何が起こって、30分も早く終わったのか?!

 山口百恵の引退コンサートはTBSで生放送された。(最近はNHKで放送されたけど)


ザ・ベストテンで絶好調の久米宏が司会を務め、世紀の引退興行を生放送する!という歴史的なイベントと言ってもいい。(勿論久米宏の出演とかは全部カットされた)

当時のTBSの編成部長は砂原幸雄さんという後に社長になられた人で、制作部の重鎮が青柳修さん、青柳さんが、この生放送の企画を編成部に持ちかけると「放送権いくら払うべきか」という議論になり、とりあえず巨人戦の1回の生放送分のお値段からの交渉になった、と何かに書かれていた。


この生放送、無事に終わったのだが一つ事件があった。それはコンサート全体の尺が30分も短かったのだ。数分まくって事はよくあるけど、30分まくは事件である。


放送では天才久米宏が何とか繋ぎ、事なきを得たそうだけど、何故短くなってしまったのか?が今日のお話。


曲を飛ばしたとかは生ギター1本のコンサートならまだしも、有り得ない。


山口百恵のトークが何ヶ所か忘れられた。これもありえないと思う。コンサートのトークといえども、比較的台本化されている感じはする。


となると、我らが天才服部克久さんに何が起こったか、という話になる。



服部克久さんは山口百恵さんと特にレコード上ではなんのお付き合いもなかったのに、引退コンサートで突然ご指名がかかり、コンサート演奏の全ての編曲と冒頭やコンサートの間に演奏される曲を作曲され、指揮までしてる。


多分大阪、名古屋、札幌、福岡でも同じ編成でやっているだろうから、コンサートの時間と言うのも明らかに分かっていたのに、何故東京だけ、しかもラストのラストだけ30分もまいたのか?


これは、ライブレコードを聞くとわかるんだけど、テンポが早い曲が相当早く演奏されていると思う。


1部の曲は事故か!?って思えるほどドラムが乱打されている。


まぁ正直、それ故に、曲が損なわれているか、と言えばそんなことは全くない。


横須賀ストーリー、プレイバックpart2、謝肉祭、青い果実などもともと早めの曲がより早く演奏されてる。


これは指揮者の服部克久先生の判断なのだろう。


当時はテンポをイヤホンで確認しながら演奏するなんて技術はなかったし、コンピュータから一部の音が流れてくる、なんてことは無かった。全部が人間によって演じられた。


同じようなことが夜のヒットスタジオでもあった。


薬師丸ひろ子のマンスリーで服部克久により特別にアレンジされたWの悲劇等のストリングスが病的に美しく、「最高のテイク」と呼ばれているのだが、これも一部ファンは早すぎる、と文句を言っている。


レコードに慣れていると早いのだろうけど、そんなに聞いたことない僕のような人間からすると心地よいテンポなのだ。


別に山口百恵引退コンサートだから、と服部克久さんが緊張して早くなった、というより、会場の雰囲気や服部さんの好みなどを鑑みて、1部の曲を少し速いテンポで演奏した、ということではなかろうか。それが積もり積もって30分まいた、というのが事実ではなかろうか。


いい日旅立ち、さよならの向こう側などが早く演奏された、という事実は無いので、確信犯的に早い曲をもっと早くしたのではないか。


いつもよりテンポをあげると、緊張感とか斬新さとかが表現できそう。


その辺を狙ったのか、それともよもや数々の大舞台を踏んだ服部先生をして緊張させて、早め、早めに指揮をしたか。まぁ前者だろうな。


ところでこの番組、コマーシャルはどうしたんだろう?


民放の命、CMを流さないなんてありえないだろうし、CM中コンサートが止まるなんてありえないだろう。この辺になにか計算ミスがあったのかもね。

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